FrontPage 新規 編集 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

Automated Extraction and Parameterization of Motions in Large Data Sets

Lucas Kovar and Michael Gleicher. Automated Extraction and Parameterization of Motions in Large Data Sets. To appear in ACM Transactions on Graphics, 23, 3 (ACM SIGGRAPH '04), July 2004.

http://www.cs.wisc.edu/~kovar/projects.html

タイトル

膨大なデータ集合からのモーションの自動抽出とパラメタリゼーション

論文 Abstract 日本語訳

膨大なモーションデータベースには、同じカテゴリに属する複数の異なる動作が含まれます.しかし、適切なツールがなければこうしたデータを完全に活用することは困難です.本論文ではデータベースから論理的な類似動作(logically similar motions)を識別し,これらを用いて連続的かつ直観的な動作空間を自動的に構築する手法を提案します.視覚的には似ていない論理的な類似動作を探索するため,我々は「近い」動作を定義する新しい測度を導入し,より「遠い」動作を発見するためにも用います.データベース内の全ての類似動作のカテゴリは前計算によってコンパクトに表現されるため,インタラクティブな動作検索を実現します.また,データベース内の類似動作は自動的に適切な動作カテゴリに分類され,それぞれのカテゴリにおいて連続的な動作空間を構築するためのモーションブレンディング法が適用できます.さらに,適切な動作パラメータを定義する関数を与えることで,ユーザが要求する動作パラメータを満たす適切な動作セグメントを効率的に抽出することが可能になります.本アルゴリズムは動作のブレンディング係数を適切に拘束し,非常に複雑な動作パラメータ要求をロバストに扱い,かつ入力のモーションの数には依存しない実行時間を実現する点で,この分野での既存研究を拡張します.

本文訳

1.まえがき

現在,表現に豊むキャラクタアニメーションを制作するためには,しばしば大規模な動作データベースが用いられます.こうしたデータベースは多種の動作カテゴリで構成されており,それぞれの種類の動作について多様なデータが収録されています.そのため,アニメータは制作の意図に応じて自由に動作データを選択できます.また類似動作データ集合の存在は,連続的にパラメータ化された動作空間を構築するための有用な基盤となります.そうした動作空間が構築されると,複数のキック動作データを合成して任意の目標位置を蹴るようなアニメーションを容易に制作できます.このように大規模動作データベースを用いると,動作の目標を指示するだけで簡単にリアルなアニメーションを制作できるようになります.

しかし,実際には数多くの問題点があります.データが未整理の状態では,あらかじめ連続データから個々の動作区間が特定,抽出されていないと,類似動作の収集は非常に困難です.そうした動作区間の切り出しはユーザの手作業により実現されているのが現状で,各データが適切にラベル付けされている場合でも,単調で膨大な作業を必要とします.例えば,「punch」という名の動作データファイルには様々なパンチ動作が収録されているでしょうが,カウンターブローを素早く避ける動作を含むかは明確ではありません.

データベースが提示すべき情報を単純に確認することが重要ですが,しばしばユーザはある特定の目標をパンチするような特定の動作データの存在を期待します.このような場合,データベースから抽出した複数の動作データにモーションブレンディング手法を適用し,類似動作の特徴を直接操作できるようにパラメータ化された動作を提供することが考えられます.しかしながら,従来のモーションブレンディング手法は,動作の多様性が限定された動作空間から(データの分布によらず)一様にサンプリングされた比較的小さなデータ集合を想定しています.しかしデータベースの規模が大きくなると,見た目に差がない冗長なデータや逆にほとんど似ていない動作をも含むようになるため,そうした動作の存在により,事前に予測することが困難な合成動作空間を生じることになります.

そこで本論文では,データベースから類似動作を探索し,それらを用いて精密かつ頑健で効率的な動作調整を実現するような,パラメータ化された動作空間を構築する手法を提案します.本章では以後,提案手法の概要と貢献(contributions)について述べます.

1.1 概要

1.1.1 動作データベースの探索

動作データベース中のある特定のデータ区間(クエリー.query)が与えられると,その動作に「類似した」他の動作データ区間が自動的に探索されます.ここで言う類似動作とは,例えば同じカテゴリに属する単一動作や連続動作の派生動作(variation)を指します.本手法は以下に3つのアイデアを元に実装されており,そのいずれもが動作データベース検索時の問題克服に貢献します.

  1. 多段階探索. 動作が論理的な意味で類似していても,見た目には非常に異なった姿勢をとる場合がありますが,コンピュータによる探索計算では,対応する姿勢が大まかに一致するという意味において「視覚的に」類似する動作しか発見できません.一方,大規模データベースにおいては,論理的類似動作の一部が視覚的に類似している程度であるのが普通です.そこで我々は,まず視覚的類似動作の探索に注力し,そして初期クエリによって探索された動作データ区間を新たなクエリとして繰り返し探索することで,視覚的には遠い論理的類似動作をロバストに探索する手法を用います.
  1. 時間的な対応を考慮した類似性評価 動作の視覚的類似性を判定するには,まず比較する動作間で時間的な対応関係を与え,対応する姿勢間の距離の動作全体にわたる平均値を計算し,その値を閾値判定するのが最も単純な方法です.本手法では,類似動作に要求される「強い」時間的対応関係を解析する手法を導入し,正確に類似性を評価します.これは,2つの動作が類似しているならば,イベント(運動の切り替わり等?)の関係を容易に識別できるべきであるという考えに基づきます.
  1. 前計算によるインタラクティブ性の確保. 高速な計算を実現するために,全ての探索計算を白紙から始めないように工夫しました.つまり,意味的に同じ種類に属する動作データの集合それぞれについて,類似動作と判定されうる全てのデータ区間の組み合わせをコンパクトに表現した,マッチウェブ(match web)と呼ぶ探索空間を定義します.