2003年12月11日

Efficient Bidirectional Path Tracing by Randomized Quasi-Monte Carlo Integration

乱列化 QMC を用いて双方向パストレーシングを行う論文。

Tomas Kolling and Alexander Keller,
Efficient Bidirectional Path Tracing by Randomized Quasi-Monte Carlo Integration
K.-T. Fang, F.J. Hickernell, and H. Niederreiter (eds.), Monte Carlo and Quasi-Monte Carlo Methods 2000, Springer-Verlag, Berlin, pp. 290-305, 2000

QMC をそのまま多次元の問題である双方向パストレーシングに適用するとエイリアシングやノイズが生じることがあるので、 RQMC を用いるとより良い結果が得られることが示されています。

以下 abstract の日本語訳

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コンピュータグラフィックスの用途では、通常非積分関数が非有界な変動(unbounded variation)を持つため、モンテカルロ積分に対して準モンテカルロ法(quasi-Monte Carlo Method)はサンプルからの誤差の推定を行う事ができず、また決定的な誤差の上限も得る事ができません。
我々は乱列化準モンテカルロ(randomized quasi-Monte Carlo)積分を応用し、低食い違い量サンプリング(low-discrepancy sampling)の利点を生かし、また同時に分散の推定を行うこともできるより効率的なアルゴリズムによる双方向パストレーシングを提案します。
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QMC では Koksma-Hlawka の不等式により、関数が(Hardy-Klause の意味での)有界変動を持てば誤差の確定的な上限が得られるのですが、 パストレーシングでは測度寄与関数(measurement contribution function)が未知の不連続関数であったりするので非有界(unbounded)になるのでよくないね、ということが述べられています。それでも実際に既存研究(といってもこれも Keller 氏によるもの)では、 QMC でレンダリングしたものは MC よりも良い結果が得られることが示されているとのこと。

ここで非有界になるような状況があるのかと不思議に思いました。そのような状況になるのはたぶん無限大のある関数が存在するときぐらいだと思うからです。測度寄与関数に含まれるのは、 BRDF f, 可視関数 V, インポータンス関数 W が主なものになります。

そのなかで無限大を取る関数があるのかと思ったのですが、鏡などの理想鏡面反射や理想透過・屈折がそれにあたりますね。その場合 BRDF はディラックのデルタ関数(ある一点では無限大をとり、それ以外ではゼロ、積分すると 1 もしくは定数になるという積分するときに役立つ関数。普通の関数の形式としては表現できないのでこれは超関数と呼ばれる)を含むので、非有界になります。

また有界であったとしても、可視関数はゼロか 1 かなので、これにより変動が大きくりますし、またインポータンス関数 W もほとんど至る所でゼロになる関数なのでさらに変動が大きくなる可能性があります。

LSS(ラテンスーパーキューブ) についても言及されており、 LSS ではエイリアシングが生じるような場合があるとのこと。

本論文での RQMC 法は、通常の MC 法に比べて 2 から 5 倍収束が早くなることが示されています。

それにしても QMC の分野の発展もレンダリング分野並みに速い感じがします。金融が引っ張ってるからかな。

QMC で使われている部分にしか足をつっこんでいませんが数論も奥が深いです。

それにつられて mathworld で数学のコトを調べることが多くなりましたが、ホントこのサイト凄いです。レンダリングアルゴリズムに関するこのようなサイトをつくってみたいなぁ。

投稿者 syoyo : 2003年12月11日 01:11